Precautions技術資料:混合ヘリウム使用時の注意事項
ヘリウム リーク検査におけるヘリウムガスのランニングコストは、検査圧力・ワーク内容積・検査数量・装置台数などによって大きく変わりますが、今後、日本国内のヘリウム(He)の価格はさらに上昇が予想されます。そこで、各社様の対応手段としてHe+N2混合ガス、または、He+Air混合ガスを使用されているのをお聞きしたり、訪問時に拝見させていただいたりすることがあります。
しかしながら、ガス同士の混合は皆様方が考えるよりも、はるかに混ざりづらいもので(簡単ではないので混合ガス一筋 55年の当社が存在しているのですが…)お客様の不安な声や、失敗談をお聞きする事がしばしばございます。
そこで、混合ガスのパイオニアである当社から、僭越ではありますが、次のようなアドバイスをさせていただきます。
分圧方式の混合加圧は難しいという具体例
例えば、He 10%+N2 90%の混合ガスで、検査圧力はゲージ圧力で2MPaにする場合ですが、しばしば見かけるやり方が、ワークにHeを0.2MPa封入後、N2を1.8MPa封入して、2MPaのHe+N2混合ガスを製造するという方法があります。ワークが大きな容器のような形状でしたらまだしも、この方法で熱交換器などの細くて長いワークに封入するとなったら、まず、HeとN2は混ざらないと言って間違いありません。下記のデータで検証してみましょう!このデータは、以前、お客様から依頼されて実施した、生データです。
冷凍機用 熱交換器の、He+N2バッチ方式 混合ガス濃度確認テスト
テスト方法
熱交換器の片側より、He 0.3MPa封入後、さらにN2 1.9MPaまで封入し、一定時間 経過後のHe濃度を測定する。
ガス濃度 計算値
(0.3+0.1)÷(1.9+0.1)×100=20%
He濃度20%を規格とする。
試験フロー
テスト一覧表
| 濃度 測定時間 ※開始からの時間 (分) |
1時間 放置したワーク He濃度(%) |
40時間 放置したワーク He濃度(%) |
熱交換器 圧力 MPa |
積算流量 リットル |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 | 1.9 | 0 |
| 5 | 0 | 3.3 | 1.68 | 2.5 |
| 10 | 0 | 5.6 | 1.49 | 5.0 |
| 15 | 0 | 7.9 | 1.30 | 7.5 |
| 20 | 0.1 | 12.4 | 1.11 | 10.0 |
| 25 | 3.2 | 16.6 | 0.94 | 12.5 |
| 30 | 13.6 | 21.8 | 0.75 | 15.0 |
| 35 | 27.7 | 27.6 | 0.57 | 17.5 |
| 40 | 42.1 | 31.7 | 0.36 | 20.0 |
| 45 | 56.6 | 35.6 | 0.16 | 22.5 |
| 50 | 65.8 | 39.4 | 0 | 25.0 |
テスト結果
現在のバッチ方式 混合ガス封入方式では、熱交換器 内部で、均一な混合ガスになっていないことが立証された。※この条件だと、正しいHeリーク検査が難しい。
現在、このような方法でHeの混合を行っているお客様には、当社のHe+N2混合機またはHe+Air混合機をご推奨させていただきます。検査圧力が高い場合には、加圧・回収装置も合わせてプランニングさせていただきます。お気軽にご相談ください。
